『花とゆめ』(白泉社)にて1994年15号から2000年22号まで連載されていた。主人公とヒロインとの禁じられた恋を主題にしているが、異世界における天使や悪魔達の攻防、心理を重厚に描き、ダーク・ファンタジーとして昇華されている。ドラマCDおよびOVAでも展開されている。海外でも非常に評価は高く、世界中で売り上げを伸ばした。日本だけでも1000万部を突破した。
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無道刹那は実の妹である紗羅を愛してしまっている16歳の少年。ある日刹那は、地獄からきた邪鬼(イヴル)たちに女天使アレクシエルの生まれ変わりだと告げられる。自らの宿命や禁断の愛に悩み、ついには手首を切ることで自殺を図ろうとするがザフィケルに諭される。母親は2人を離そうとするが、吉良先輩の支えもあり、ついに紗羅と結ばれる。だがその幸せは長く続かず、ロシエルの策謀で紗羅はロシエルに利用されたキリエによって殺されてしまう。
その結果刹那は有機天使として覚醒する。その際キリエは消滅しそれを止めようとしたロシエルの部下カタンも巻き添えを受ける。だが、ロシエルはこの世で最も高貴な汚物、あらゆる業(カルマ)を背負い続ける自分のことを、純粋で無垢に慕ってくれるカタンに、嘘でもいいから自分の事を美しいと言って、自分自身を欺かせて欲しかった。そのため、ロシエルはチップを用いてカタンを生かそうとする。
刹那は紗羅に再び会うため、仮死状態となり死者の魂が集まる星幽界(へディーズ)へ旅立つ。そこで自らが殺した加藤故と会った。そこでキリエの魂を持ち紗羅の顔を持ったドールと出会い、彼女と戦ったが、その際加藤の魂は消滅しかける。だが、古の時間魔法で加藤の魂を保持させた。その後ウリエルと戦い彼を正気に戻らせた後に、彼女の魂があった部屋に連れて行かれたものの、そこにはもう紗羅の魂はなく天界に連れ去られた後であった。その後加藤の精神の中に入り彼の魂を開放させ、加藤の魂を蘇らせる。
刹那は地上に戻ろうとするがボイスが刹那の魂と肉体を結ぶ七支刀を抜いてしまったため肉体が死んでしまう。加藤は刹那を地上に返すため自らを犠牲にしようとするがウリエルは彼の魂に再び植物の種から作った生体を与え生かす。その時ニドヘッグ(廃竜)に男性達に暴行されたライラという女性に、自分は男達に純潔を奪われたと虚偽の訴えをされ、処刑されたが憎んでいない、貴方は少しも汚れてなんかいない、今でも愛していると伝えて欲しいと頼まれる。その後、刹那はアレクシエルの身体に戻る事になる。
その混乱の最中、九雷はベリアルの陰謀によりルシファーの花嫁にされかける。そしてその結婚とはゲヘナ(地獄)の崩壊を防ぐための生贄にされる事であった。自らに生贄にされる純潔さのないベリアルは、自らを罵るルシファーへの歪んだ愛情から多くの処女を生贄に捧げてきたのであった。九雷をおしとどめようと刹那はゲヘナへと向かうが、地獄は崩壊しかけていた。だが、紫羅九音が自らを犠牲にし地獄の崩壊を食い止めた。ベリアルはその時死にたがっていたが、彼女を冷酷に愛するアスモデウスが助けていた。
一方、紗羅はセヴォフタルタの針がジブリールの肉体から外されたのとともに、その肉体に戻り刹那の肉体を蘇らせようとし、その力を持つラファエルに協力しジブリールとしての力を発揮し刹那の肉体を蘇らせていた。だがその後、兄と通じた罪を問われ天界で幽閉される。そして自らの肉体に戻った刹那は紗羅を取り戻し、地球崩壊を食い止めるため至高天の神の塔(エテメナンキ)へと向かう。
登場人物
天使や悪魔の設定はあくまでこの物語における設定であり、一般のものではない。登場人物の多くはその時その時に別人になり、生きているか死んでいるか微妙な時もあり、男性なのか女性なのかなどもはっきりせず、複雑に絡み合った状態となっている。非常に複雑であり概念も独自であるが、それがこの漫画の特徴でもある。
物質界(アッシャー)
無道 刹那(むどう せつな)
声:野島健児
堕天使アレクシエルの魂を内包している少年。「選ばれし真の救世使」であり、アレクシエルの転生した姿である。単純だが底抜けに明るく、強烈なカリスマ性を持っていると言われる。
実の妹である紗羅を強く愛しており苦しむ。紆余曲折を経て、彼女と結ばれることになるが、その矢先に紗羅が死んでしまったため、紗羅を蘇らせるため、時間の止まった地球を救うため、戦うことになる。
紗羅の魂を追ってへディーズに行くときは仮死状態になったが、ボイスが(刹那の肉体を仮死状態にする機能がある)七支刀を抜いたため、「刹那」の肉体が死んでしまい、一時、女天使であるアレクシエルの肉体に戻っていた。ラファエルやジブリールの手により自らの身体に戻った後は、アニマ・ムンディと行動を共にする。
戦いの当初は、紗羅を愛し、紗羅を蘇らせる事だけにこだわっていたが、その身勝手な行動によって多くのものを傷つけていたことを悟り、救世使として少しずつ成長していく。
ロシエルの毒に右目を犯されてしまったため、自ら右目を潰した。後に治療を受けるが視力は戻らず、眼帯をつけているシーンが多くなる。
アニマ・ムンディと共にセヴォフタルタの館を急襲した際に朔夜と再会するが、朔夜はルシファーとして覚醒しロシエルと行動を共にしており、大きなショックを受ける。だが救世使として成長した刹那は七支刀をルシファーの力から離し自らのものにし、その際に右目は再び開き、茶髪だった髪が金髪になる。そして刹那は全ての決着をつけるためエテメナンキへと向かった。
無道 紗羅(むどう さら)
声:川澄綾子
刹那の実の妹。兄を愛しているが周囲からは軽蔑されおかしいと思われ苦しむ。キリエの策略の際に刹那をかばい命をおとす。
四大天使の1人ジブリールの生まれ変わりであり、メタトロンがサンダルフォンに言われジブリールの針を抜いた事でジブリールの身体に戻る。天界ではラファエルと会い彼と協力し刹那の身体を蘇らせた。
最初は刹那と自分のことしか考えておらず、一度脱走を試み刹那と出会うが、彼女の刹那との再会はさまざまな犠牲の上に成り立っているものだった。ザフィケルの卑怯だという言葉と、リルのことを考え、脱走を止めることになる。孤高離宮に監禁され、セヴォフタルタの策略により、実の兄と結ばれた罪で天界裁判にかけられることになる。
裁判ではラファエルが薬を用い、紗羅は口が利けなくなってしまう。しかしラファエルは紗羅に対する想いからセヴォフタルタを裏切り、口を利けるようにした。さらにラファエルは紗羅の肉体を蘇生させる。だが、ラファエルは彼女を実際に愛しており、彼女を独占したい一心で紗羅を一室に監禁する。
監禁されていた一室に入ったサンダルフォンに子供を産まされようとするが、それは未遂に終わる。だが、紗羅の悪夢はサンダルフォンに食われており、紗羅は想像妊娠状態となる。この後、紗羅は刹那が刹那だと分からなくなる。
想像妊娠状態となった彼女は自らの醜い面を見せ、狂気的な面が多くなる。九雷と会い、彼女に激しい敵意を見せる。サンダルフォンは残留思念となり復活を狙い、紗羅の手で多くの天使を殺しラファエルらの下から脱出。紗羅をエテメナンキへと向かわせる。
ラファエルがエテメナンキに向かおうとする彼女を止めようとしたが、笑いながら紗羅は大勢の天使を殺害。紗羅に戻り純粋になったように見せながらラファエルを騙し針で大怪我を負わせる。さらに紗羅は彼を殺そうとするがバービエルが庇い彼女は瀕死の重傷を負う。
紗羅は天国への門へと瞬間移動し、さらに空間を歪ませ天国への門を通り抜け、神性界へと入る。
吉良 朔夜(きら さくや)
声:子安武人
刹那の悪友であり先輩。だがその正体は伝説の魔剣七支刀御魂剣(ななつさやみたまのつるぎ)である。元は普通の人間であったが、7歳の時交通事故に会い、その際に七支刀と取引をし同化した。現在の刹那の事は出来の悪い弟のように思っている。不知火という刀を持つ。
もともとは堕天した地獄の王ルシファー(天使時:ルシフェル)の転生した姿であり、七支刀に魂を封印され、アレクシエルの愛剣として使用されていた。ロシエルの血をあびたため不滅の精神体となり、幾度となく人間の体から体に乗り移りながらアレクシエルの魂を見守り続けてきた。ロシエルの血によりなかなか死ななかったが、だんだんとその効果は切れかけていた。また少しずつルシファーの記憶がだんだんと蘇ってきていた。
朔夜との約束から親に愛されようとしないが、実は父親を愛している。幼少期の朔夜は物語の最後まで絡み続ける。
女をよくとっかえ、まともに愛されたがっていない。煙草をよく吸う。加藤故を殺害した罪を、刹那の身代わりに背負う。
彼がロシエルの手により死んだ瞬間に七君主(サタン)は全壊を防ぐため魔王の本体を捨て天界と地獄を繋ぐ楔を切り、七層の大地ごと大転移を行い天界に体当たりしたため地獄の上二層と天界の下二層が砕けた。
加藤 故(かとう ゆえ)
声:うえだゆうじ 矢尾一樹(ドラマCDの形成界編)
刹那の高校の先輩であり、吉良の悪友の一人。アシッド(LSD)やE(エクスタシー、MDMA)などの薬物をよく服用していた。サバサバした性格で、キレるのも早ければ立ち直るのものも早い。煙草をよく吸う。母親の不義の子で、義理の父親が「早く死ぬように」と、故という名前をつけた。父親に虐待され、強姦はしなかったが5つ年上の姉の冴(さえ)に襲い掛かったりした事もある。後に父親は死んだが、通夜にも行かなかった。
ロシエルのチップに冒されてしまった人間だが、刹那に殺されたことによって救われた。後にヘイディーズで再会し共に戦い、刹那の眷族になることで過去の妄執を断ち切り、自らの運命と戦うため刹那と行動を共にするようになる。刹那の魂を地上に返したり、ゲヘナ皇国へ行き刹那の死体を蘇らせるのに協力したりする。
朔夜がロシエルの手により死んだ後は彼から不知火を譲り受ける。
斉木 翠雀(さいき るり)
声:永島由子
紗羅の友達だった。「天使禁猟区」のゲームに夢中になった彼女は、みるみる美しく人を惹きつける妖しい魅力に満ちていく。最終的に殺害されるが、最後の力で紗羅を助ける。
炎の祭壇(ゲヘナ)
いわゆる地獄であるが、第一層のみには邪鬼(イヴル)という、天使にも悪魔にも属さない者たちが住んでいる。彼らは自然霊(竜)を崇めており、龍主上(ドラゴンマスター)のみが神竜を使役することを許されている。長年天使たちと休戦協定を結んでおり、平和に暮らしていたが、天使軍の裏切りと虐殺に遭いほとんどが死んでしまった。現在は九雷が中心となって国の再興を目指している。ちなみに邪鬼たちは関西弁で話す(訛りらしい)。地獄の最下層は「子宮(シオウル)」と呼ばれる。
九雷(くらい)
声: 宮村優子
ゲヘナ皇国の第14皇女。銀糸の髪に青い瞳。邪鬼で唯一の神竜使いで龍主上(ドラゴンマスター)である。少女らしい無垢な心の持ち主であり、それゆえに神龍が従っている。
かつて地獄の第三層(アナグラ)に追放されたが、帰ってきたときには皇族がほぼ全員殺されていた。その際、神に反旗を翻したアレクシエルと行動を共にし、彼女に心酔する。
刹那に淡い恋心を抱いているが、そのため紗羅には心の底では嫌われている。
紫羅九音(あらくね)
声: 松本梨香/OVA版浅野まゆみ
九雷と同じゲヘナ皇家の血を引く者。男性でありながら女性のような振る舞いをしている。九雷のよき相談相手であるが、その正体は皇位を狙う反逆者だった。
従兄妹という事になっているが、実は九雷の兄であり、父王により九雷の身代わりにされ、反逆者らにより殺されかけた過去を持つ。その時ベリアルに促され部下となり、王妃の姉の子を殺し彼に成りすましていた。
ボイス
邪鬼の生き残りの一人。ノイズの双子の弟。九雷に恋心を抱いており、恋敵でもある刹那に敵対心を抱いていた。そのため刹那が仮死状態になっている時、七支刀を抜こうとした。結果的に意図したわけではなかったが、間違って抜いてしまい九雷の怒りを買って幽閉される。だが、有機天使の起こした奇跡を目撃し彼の信奉者となる。しかしその後、紫羅九音の裏切りに気付き、殺され、形見であるムーンパールの指輪を奪われる。
ノイズ
声: 野田順子
ボイスの双子の姉。一時期ベリアルの魔術によって魔物(ビースト)にとりつかれた。弟の死をきっかけに髪を切り、彼を殺した犯人に復讐を誓う。
ルシファー
4枚の羽を持つ闇の魔王。元は天使で、ミカエルとは双子の兄弟。
「絶対悪」という役割を果たす為に生まれ、天界を裏切り第一次天地大戦を引き起こした。後に創生神の手で邪剣<七支刀御魂剣>に魂と記憶を封印されていた。その後アレクシエルと出会い、彼女の愛刀となる。アレクシエルが神への反逆の罰として「永遠に転生を繰り返す」という刑を受けることになった際も彼女とともに転生を繰り返し、最終的に吉良朔夜に宿ることになった。
朔夜に宿っていた際に一度死に、地獄の崩壊を招くが、ロシエルの手により蘇る。その後はロシエルと行動をともにし、ロシエルに操られているように見せながら創世神を倒そうとする。
創世神により闇の王と定められた運命に抗おうとしてもがいているのだが、表面上は冷酷で歪んだ性格に見える。ミカエルのことは本当に嫌っているわけではないのだがあまり仲は良くない。
義の国(エデン)で刹那がなくした折れた不知火を持つ。
ベリアル
声: 沢海陽子
傲慢(プライド)を司る七君主(サタン)。ベリアルは「無価値」の意であるが、本人は無価値を通り越し「有害」を及ぼす事をモットーとしている。自称「いかれ帽子屋(マッド・ハッター)」。妬み、破壊、患難、捕囚、欠乏、混乱、荒廃の7つの悪徳を愛し、ベリアルの唇からはそれらが生まれる。
かつては天使でラファエルの副官として力天使の地位にあった。天界にいた頃から非常に淫らであったが、そのことを機械のような声で罵ったルシフェル(後のルシファー)に何故か心酔し、彼と共に堕天した。その言動に惑わされがちだが、心の底では強くルシファーを求め愛している。
生まれた際、薬を用いて、自らの身体が女性化するのを防いだ。そのために肉体が女性化していなく、実質男でも女でも無いため子供を身篭ることも出来ない。だが実は非常に美しい。だが、その顔を道化の化粧で隠しており、背も高く声も低いため、事実上男性にしか見えない。右足の太ももには蝶の刻印の図形(シジル)が付けられている。
アスモデウス
淫欲(ルスト)を司る七君主(サタン)。山羊の頭を持つ。淫らであるが、性に関して冷酷な感情を持っている。ベリアルに冷淡な愛情を抱いている。
アスタロト
怠惰(スルース)を司る七君主(サタン)。1匹の蛇を媒介として生み出された双子。自らの身体の中に双子の妹のアスタロテの魂を内包してる事で精神は非常に狂気に満ち溢れいつもギリギリの所で正気を保っている。自分より劣っているのに体を共有している妹を常に憎み、その狂気が血を好む残虐な男にした。神の実験により今の姿になったため、誰よりも「神」を呪っている。本編では書かれていないが髪は染めた金髪である。アスタロテが表に出ている時は、アスタロトは黒い蛇に封印される。
アスタロテ
アスタロトの双子の妹でアスタロトと身体を共有している。そのため子供が産めないが、子供を食らう事でその欲求を満足させようとしている。兄に疎まれている。アスタロトが表に出ている時は、アスタロテは白い蛇に封印される。アスタロテ・アスタロトは男性の人格が現れた時は男の体となり、女性の人格が現れた時は女の体となっている。
バルベロ
声: 笠原留美
憤怒(ラース)を司る七君主(サタン)。かつてはバルという名でありミカエルの部下であったが、第一次天地対戦の時ルシファーを庇い、死の淵に立つがルシファーが助ける。自称ルシファーの最初の妻。他の悪魔達との間に子供を儲け、それをルシファーとの子だと公言している。